まだしらぬ南信州・飯田
◆長野県は広い!
長野県は雄大な山岳地帯、その麓の田園風景、そして歴史が多くの人を惹きつける観光県。しかし南北に長く肥沃な4つの平でざっくりわかれる長野県は、訪れた場所で少しずつ印象が違うのではないのでしょうか。あなたの思う長野県ないし信州の姿は?
これは実は長野県に在住している人も同じで、特に北信の人は南信はあまり馴染みがないと思います。なんせ訛りも違いますし、展開するスーパーのチェーンさえ違いますからね
わたしは祖父が長野市の松代町だったおかげで長野県というと長野市や上田市といった東北信のイメージが強くありましたが、大学のキャンパスが伊那だったことからだいぶ中南信の方も馴染み、今では伊那谷の景色が帰ってきたと安堵する景色となっています。
さて、今回は私にとっての信州を広げるべく、自転車で伊那谷南部最大の都市・飯田へ探検です!
◆行こうか行かまいか踏ん切りがつく距離ってありません?
今回のルートは以下のとおり。
広域農道を南下、宮田村、駒ヶ根市、飯島町、松川町、高森町と経て飯田市へ。やや下り基調の片道約50kmでした。
8時前に出発。予想最高気温16度と3月にしては暖かめな日なはずでしたが、雲が上空を覆い風が冷たいスタート。
あんまり寒くてヤメようかと思ったりwでももうだいぶ走ってきちゃったから行ってしまえ!そういう距離ってありますよね。私は15kmくらいかな。
伊那市ますみヶ丘にある名物産直市場「 グリーンファーム」はミニ動物園もある手作り感満載のお店。年商1億とか?蜂の子のシーズンになると巣のスライスが並び、キノコシーズンはマツタケや雑キノコ、これからは山菜が並び、伊那谷の食べ物の四季を知ることも出来ます。伊那に訪れた際にはぜひ!
高台を走る広域農道は晴れていれば白銀の中央アルプスと南アルプスを眺めながら走れる最高のロケーションなんです!
30kmほど走ったところで、道の駅「花の里 いいじま」で小休止。この地区の御柱の1/3レプリカが展示されてました。
小腹がすいたのと温まりたかったのでアップルパイとコーヒーを頂きます。中川村のおばちゃん手作りのアップルパイは良いボリューム。せっかくならレーションもコンビニじゃなくて地物のモノを頂きたいですね!
◆りんご畑の道、そして三州街道の旧道へ
松川町からは下伊那郡となります。ココからは自転車で走るのは初めてでワクワクもんです。
りんごを始めとする果樹の産地である松川・高森のエリアではりんご畑の中を走り抜ける風景が多く、花のシーズンならば白い花たちがサイクリストを迎えることでしょう。リンゴ狩りをやっている農園も多いのでポタリングがてら狩るのもいいですね♪
ただ、消毒散布の時期はルートを考えたほうがいいかもです。
南へ進んでいくのですが、途中石碑や一里塚を多く目にし、柿渋色の古い建物もよくみます。そう、伊那谷を南北に貫く三州街道の旧道なのです。三州(三河)まで向かうこの街道は木曽路をゆく中山道の脇往還として使われたそうです。
今では平行する国道153号や南部広域農道があるので、交通量が少なく自転車で走るのにぴったりな旅情あるルートとなっています。
そうこうしているうちに飯田市に入りました。
◆結構都会じゃん飯田
飯田線桜町駅。飯田市街には短く6つもの駅があり、しかもΩ状になっているので、「下山ダッシュ」なんてこともできちゃったりw
そして飯田名物ラウンドアバウト!思わずテンションが上って目的の方向を見失います。この信号がない交差点のシステムはツール・ド・フランスの中継などでおなじみですね。
11時前くらいにリンゴ色の飯田駅に到着。駅併設の観光案内所で観光協会のおじさんに名所を訊き、観光マップを入手。昼まで少し時間があるのでぐるぐるあっちへこっちへ自転車で探索することにしました。自転車は短時間でその街のつくりを知るのに最適なんです。
飯田市街は天竜川の河岸段丘の上にできた街。なので市街地は「丘の上」と呼ばれるそうです。丘の端に来ると急坂と 急に抜ける空が独特な景観を作っています。
なんというかいい下世話さですね。そして結構市街地が大きいです。上田市街くらいありそうですね。リンゴ並木の広い道など、ちょっと名古屋を感じる街並みや川本人形美術館あたりの感じはなかなか都市的で、県内なのですがどこかもっと遠くの街に来た気分になりました。
また、人口1万人あたりの焼肉店数が日本一の焼肉の街であり、伊那もそうですが午後5時からの店が多く、呑兵衛にはたまらないんじゃないでしょうか!
飯田の街は昭和22年(1947)の4月に大火に見舞われております。細かい区画に家屋が密集していたこともあり、市街地の7割を焼く被害があったそうです。その後の復興で、防火帯や消火・避難の経路が無かった教訓に上の写真のような「裏界線」という幅員2mの路地が作られています。ここがまたいい雰囲気で、あえて通りたくなる魅力があります。
◆飯田の味「新京亭」
お昼は飯田駅前の中華そば屋「新京亭」へ。ワンタンメン(750円)。自家製麺でしょうか?平打のストレート麺とモモ肉のチャーシュー、メンマというシンプルな構成。ほっとする味が沁みます。ワンタンもちゅるりと美味い!常連が必ず頼むという揚餃子も気になります!
ほんと地元に愛されている店のようで、次々に老若男女お客さんが来ていました。
◆崖の上の飯田
このレトロな建物は飯田市立追手町小学校。昭和4年に建たった校舎は今も現役!国の登録有形文化財になっています。鉄筋コンクリートの建物が少ない時代に、これだけのものを小学校として建てられたことは素晴らしいことと思います。
市街の西部にそびえる市民の山・風越山の麓に広がる飯田市街地。天竜川の河岸段丘の岬に、かつて飯田藩の中心であった飯田城址はあります。今は長姫神社と三宜亭という温泉旅館になっております。
飯田市街は城下町なんですが、城の方が標高の低いところにある城”上”町となっています。全国でも数カ所と珍しいとのこと。その飯田城址の崖からの見晴らしが良いよと観光協会のおじさんに教えてもらったので、行ってみることに。
旅館の脇から小道を行くとジブリっぽい高度感のあるシングルトラックが続きます。
個人的に崖から街を見下ろすという景観が好きなんですが、飯田の街、イイデスネ!
地形にへばりつくように家屋が密集している感じも堪らなく、ツアー・オブ・ジャパン南信州ステージの周回コースがある下久堅地区の中山間の風景、そして晴れていれば南アルプスが最高の背景となってくれましょう!
◆元善光寺の元とは?
市街地を後にし、座光寺の元善光寺へ。長野市にある善光寺のオリジンはこっちだに?ということらしいです。長野のに比べると、より俗っぽく小ぢんまりとしてます。お戒壇めぐりやびんずる様もいて本物そっくりです。
広島から観光バスで善光寺詣での方々が来ていたり、その信仰は本物のようです。
◆遅いぞ!飯田線!
さて、ごしたい(南信訛りで疲れたの意味)ので、帰りは飯田線輪行を当初から計画していましたw
最寄りの元善光寺駅に来ましたが、飯田線は40分後…。ならまぁ、もうちょっと走るか。国道153号線を北上します。途中飯田線も見えるので、たびたび駅へ向かって時刻表を確認するも、差はあんまり縮まりません。飯田線から逃げたくないのに逃げることになっている。走りながら頭のなかで時間計算してるので、なんだか面白くなってきました。
松川を過ぎていよいよ上伊那郡中川村まで戻ってきてしまいました。もう自走で帰ることが出来るような気がしますが、日没もありますしそれなりに疲れてますので飯田線を使いましょう。
しかし、そういう時に限って、飯田線の駅が遠いんですね!w
飯田線の飯島駅まで来ました。ここでいい時間なので輪行袋に入れて電車を待ちます。
狭い単線をくねくね縫っていく飯田線は運転したら楽しそうですね。ちょうど新人さんの研修運転でした。
「究極超人あ~る」でお馴染みの田切駅を過ぎ、ちんたら各駅停車でたっぷり時間を使い伊那市駅に帰ってきました。
待っている時間と乗車時間を考えたら、もう帰ってるんじゃないか?いいんです!飯田線に乗りたかったからッ!
◆エピローグ
私が住んでいるのは伊那市の河岸段丘の上。伊那市駅は河岸段丘の下。つまり輪行しようが坂は登らなきゃいけないんです!
遠く南に見える飯田市方面を眺めながらいいポタリングだったと締めくくります。
旅情あるルートや知らない街の雰囲気、輪行も相まって、小旅行気分が味わえる自転車旅でした。今度は焼肉食べに行きたいな!