落葉松自転車商会

Larix Bicycles

五味池破風高原から毛無峠へ

 長野県と群馬県の県境は、浅間山四阿山荒船山など火山活動によって形成された独特な地形や景観があり人里を離れた秘境も多く、北アルプスのような派手さはないものの魅力的な山々が多くあり、私も幾度か自転車や登山で訪れています。
 須坂市群馬県と県境を接しており、大笹街道や万座に至る道など交易も古くからありました。
 そんな上信国境の一つである五味池破風高原から毛無峠の山域へチャレンジしてきました。

 この夏一番の冒険だったので、記事にしたためます。

 

 

 

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海を見に行くキャンプツーリング【後編】

海を見に行くライドの後編ということで、海を離れて信州に帰ります。

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◆遠くに飯縄山が見えます。

まず、大潟水と森の公園へ寄ってみました。

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砂丘後背地により行き場を失った上流からの川水が溜まって形成された池である「潟」がいくつかあり、水辺の豊かな環境を形成しています。

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南西の奥に妙高山黒姫山飯縄山が見えました。結構見えるものなんですねと思うと同時に、今日はあの向こうまで帰らなきゃいけないんだよなぁとしみじみ思うのでした。

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鵜の池に半島状に伸びる尾根の突端にある「丸山古墳」へ行ってみました。一辺が20メートルの正方形で、四辺が正しく東西南北を向いています。古墳時代(3世紀中頃~6世紀末期)の4世紀後半から5世紀前半に築かれた、久比岐地方では最も古い古墳とのことです。
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オオワライタケが生えてました。
大丈夫です。自転車で十分脳内麻薬が出るんで間に合ってますw

 

◆金色の季節を走り抜ける
収穫の時期を迎えた金色の稲穂の中を高田へ向かいます。
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新堀川沿いの砂利道を南下していきます。青空、稲穂しか無い景色。新潟に来たと実感する他無い、旅情あふれる景色にペダルも回ります。
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北越鉄道ほくほく線が突如見えました。

冬の地吹雪対策で、効果になっているんですね。雪が付着しないようシンプルな構造になっており、独特な景観を生み出しています。


◆これはもしや駅跡?

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新潟県道77号上越頸城大潟線を南下していくと、不自然に右に曲がる箇所があり、その向こうが広場になっていました。これはもしや駅跡かな?と思ったらそうでございました。

kubikino-railpark.jimdofree.com

大正3年〜昭和46年までJR信越本線黒井駅から北越鉄道ほくほく線浦川原駅までを保倉川沿いに結ぶ頸城軽便鉄道という路線がありました。ここは百間町駅として鉄道会社の本部や車両基地があった中心的な駅だったそうです。
残念ながら開館しておらず、動態保存している機関車を見ることはできませんでしたのでまた訪れてみたいですね。

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そうそう、航空写真で気になっていた保倉川の旧河道が圃場になっている景色も確かめそこねたので、それも合わせて。

 

◆桜と蓮の名所、高田城跡

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上沼道の鶴町ICなどを経て、高田市街に戻ってきました。

高田城は、1610年に信州川中島から入封した松平忠輝により、高田平野を流れる関川の自然堤防や中洲地形を巧みに使い、1614年に築城されました。大阪の陣を控えていたことから、たった4ヶ月という驚異のスピードで普請されたそうです。

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その後8代の城主がそれぞれ高田藩を治め、城下町を形成し、今は桜の名所と蓮の名所として親しまれています。

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平成5年に復元された三重櫓を訪れました。
ヒノキのいい香りがする櫓の中には、解説パネルや出土品、甲冑などが展示されています。

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◆お昼はつけ麺。

お昼近くにまだ高田市街というのは後々のスケジュールを考えるとちょっとまずいので、妙高市街でお昼にすることにしました。
国道292号線を南下し、新井駅界隈へ

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化学工場が駅の周りにある、この新井という街はなんというか人の気が無く、以前来たときも食いっぱぐれそうになったのです。
もう少し進んで、旧北国街道沿いの「麺みなみ」で妙高つけ麺なるものを頂きました。
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ピリ辛のとうがらしペースト?かんずり?が結構辛くて、美味しかったです。
地元の方に愛されているお店という感じで結構賑わっていました。

 

スイッチバック二本木駅

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車通りが激しい国道18号をヨタヨタ帰るのは危ないのと迷惑なのと楽しくないので、旧北国街道を辿って帰ります。裏道・旧道こそ自転車の醍醐味ですよ。
農家の軒先でゴザに座って花豆の選別をしているお婆ちゃんがいたり、なんだか旅情があって良いじゃないですか。

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スイッチバック二本木駅に着きました。日本曹達の工場があり、その引込線がかつてはあったそうです。

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踏切を超えて、ググッと勾配がキツくなったところで左に振れてパニアバッグが縁石にあたり弾かれて、コケましたw
幾多の落車を経験しているので、今回はクルッと受け身が取れましたが、クルマ来て無くてよかった^^;
自転車でコケるとわけわからないところが痛むんですよね。気をつけよう

 

◆いよいよ県境、関川の関所

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赤倉温泉がある妙高高原まで戻ってきました。
流石にくたびれてきました。でも、長野県今日まであとちょっと。
行きに走った信越大橋を通れば標高を変えずにそのまま行けますが、ココは律儀に旧北国街道へ。

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関川関所道の歴史館は残念ながら閉館中でした。

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トラス橋の関川一の橋を渡り、スノーシェッドがあるヘアピンコーナーのつづら折りの坂道を登っていくと、元の国道18号線へ戻りました。

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野尻湖を通過し、江戸時代の俳人 小林一茶終焉の地である柏原宿を超えるとあとは下るのみ。
焼きとうもろこしの香りに誘われながらも、国道18号線を下っていき、無事帰ってきました。

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◆自宅から自転車で海へ行けたね!

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とまぁ久々のキャンプツーリングでした。
専用のフロントキャリアにパニアバッグの組み合わせは、荷物の重心が低く安定しており、ツアラー達によって長年試されてきた末の正解なのだなと改めて感じました。
長い距離、時間自転車を漕いでいる事自体が楽しいですし、見慣れない景色や町並みはとても刺激的で、また自転車旅行に行きたくなりました。

海を見に行くキャンプツーリング【前編】

自宅から自走で海へ。
子供でも思いつく単純な冒険です。

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思えば調布から多摩川を下って羽田まで行ってみたり、何年か前は長野市から千曲川を下って萬代橋、そして河口の新潟港へ行きました。

今回は、海の無い県に住んでいるがゆえ海が見たくなり、またフェデラルの再塗装を施してフロントキャリヤを装備してからキャンプツーリングをして無いなと思い、自宅から約70km北にある上越日本海を目指しました。

routehub.app

◆雨ですか。

そうですか。

これから久々のロングライドだ!とワクワクしている人間の上に雨を垂らしますか。

そんなことを考えながら、北信五岳道路へ上がる坂道をゆるゆる登ります。

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強い降りではないがヘルメットの縁から溜まった雨滴が滴ります。フェデラルにはマッドガードが付いてますし、バックも防水のオルトリーブなのでさほど心配はないですが、どうやら水に弱いのは自分だけのよう
天気アプリで雨雲レーダーを見ると、東に向かって野尻湖あたりを薄い雨雲が通過しており、県境を抜ける頃には雨は止みそうだったので、カッパも着ないでそのまま進むことに。
こういうトラブルに対処していくのもある程度までは楽しかったりしますね。

三水の林檎畑の中を行く北信五岳道路は、古間の手前の峠までは比較的平坦で伸びやかな気持ちの良い道となっており、最近好きな道の一つです。赤い実が成り始めていました。りんごの花の季節も良いことでしょう。
ファミマで行動食を補給し、塩ノ入交差点を過ぎると緩やかに信濃町へ抜ける峠道に差し掛かります。

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この坂、勾配は決して急ではありませんが、キャンプ装備なのでゆっくり淡々と峠をこなし、しなの鉄道北しなの線古間駅方面へ進みます。

雨も止み、次に目指すのは野尻湖、そして信越県境です。

 

古間駅から踏切を渡り、長野県道360号古間停車場野尻線を登っていきます。上信越道を越えて森の中の十字路を野尻湖方面に下ると湖畔道路に出ます。

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標高654m、北信五岳の黒姫山斑尾山の麓にある野尻湖は面積4.56km²で、長野県の湖としては諏訪湖に次いで2番目の広さを持ちます。湖水浴やカヤック、水面を滑るディンギーやSUP、糸を垂れる釣り人で賑わいます。最近ではサウナもあるのだとか
水辺って開放的な雰囲気で、いいですよね。

自宅から30kmくらいと丁度いい距離なので、最近は、サイクリングの良い折り返し地点になってます。

旧道を使ってトンネルを回避し、そのまま関川を渡る信越大橋へ。いよいよ新潟県です。

 

◆道の駅あらいまではバイパスで快適に。
日本海の海産物が買える日本海鮮魚センターやきときと寿しがある道の駅あらいで、トイレ休憩

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観光客で賑わっていましたし、何度も来てるので今回は特に寄らずに先へ進みます。
ただ、結果論としてはココで魚を買っておくべきだったようです。


乙吉交差点から新潟県道63号上越新井線に入り、上越高田市街へ。

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アメリカンドラッグ(いつも思うがこの名前はなにか誤解を生みそうw)や八十二銀行の支店があったり、上越地方はほぼほぼ長野県ですね。

以前、直江津のお店で美味しかった「軍ちゃん」の高田店で海鮮丼を頂きました。

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豪華な刺し身ももちろんのこと、アラ汁もいい出汁が出ていて美味しかったです。

 

◆ミニテーブル忘れたな。

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キャンプ用のミニテーブルを忘れたというか、持っていたのが壊れてしまって無いので、直江津で探すことに。
ワークマン+、ムサシと覗いたのですが、コンパクトなものがなく、結局ゼビオで購入。おまけにランタンも。
まさか、こんなことで直江津市街をウロウロするとは
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荷物も増え、佐渡汽船のターミナルに到着。

土産物屋とかやっていなくて、ちょっと寂しい感じ。
かつてここから佐渡も行きました。また行きたいな佐渡島

◆海を観ながら走るんだったら北へ
日本は左側走行なので。

これは、いつぞやの佐渡一周の時に地元のおっちゃんにアドバイスされたもの。おっちゃん頭いいな。


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直江津港のでかいクレーンや、LNGのコンビナートを見ながら海岸線を進みます。
実は直江津港から長野県の木材を輸出していたりするんですよ!


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長野県ではありえないどこまでも続く水平線、これを見に来たのです。


◆大潟キャンプ場に到着!
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今日のゴール大潟キャンプ場に到着。
大潟キャンプ場は砂丘後背地の丘の上の森にフリーサイトがあり、海へのアクセスも良好なキャンプ場になっています。テント1張1,500円に管理料1泊1人500円で予約不要。水場の他、ゴミ捨て場(燃えるゴミと缶ペットボトル用の袋が貰えます)炭捨場も完備。直火は禁止ですが、焚き火台orコンロならOK。

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テキパキ設営して、温泉と買い出しに行きます。

 

◆東京の都市ガスも実は上越から

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日帰り温泉が楽しめる「鵜の浜人魚館」は天然ガス田採掘の際に発見された温泉で、昭和33年に帝国石油が公衆浴場を立てたのが始まりです。
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新潟県天然ガス鉱床があり、全国一位の産出量を誇ります。実は東京の都市ガスも、輸入したガスも含め上越から長大なパイプラインで運ばれているのです。
かつてはこの大潟にも沖合に4つの人工島があり、天然ガス採掘が行われていたようです。

www.inpex.co.jp

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露天風呂では海を見ながら、ナトリウム-塩化物泉の湯で温まりました。

国道8号線沿いのナルスに夕飯の買い出しに向かいます。
ついでに蚊がひどかったので、虫よけと虫刺され薬を買いました。現地調達が多いなぁw

◆海辺は夕やけが長い。星空、朝焼け。
空がいい感じに灼けてきたので、夕飯もそこそこにミニチェアを持って夕陽鑑賞へ


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ただ、ぼーっと夕日を眺めるという贅沢でした。

 

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朝、海岸線の砂利道を走ってみました。

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釣り人がちらほら。静かですが、人気がある不思議な感じ。

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朝になってわかりましたが、テントを張った直ぐ側に、京大の波浪観測所があったようです。

 

◆撤収。今回の装備。

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オルトリーブのフロントバックとパニアバッグ、タイオガのフレームバッグに、モンベルの登山用ダブルウォールテント「ステラリッジ2型」に10年前に買ったスパイラルダウンハガー#3、ニーモのエアマット(ショートタイプ)、キャプテンスタッグの焚き火台、プリムスのバーナーとコッヘル、トランギアのメスティン、ヘリノックスのチェアワンミニ、温泉セット、その他諸々を積み込んでます。
左のヘリテイジのタープとポールは、結局使いませんでした。ただのウェイトです。

下のミニテーブルとランタンと虫よけとムヒは現地調達したもの。

U.L.には程遠い

 

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往路は、高田平野を横断しつつ高田城跡を寄りつつ、旧北国街道を登って帰ります。

続きは後編へ

larixbicycles.hatenablog.com

 

 

 

乗鞍・畳平にビーチクルーザーは立てるか?

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日本で最も高い場所へ自転車で行ける場所はどこでしょうか?
北アルプスの南部にそびえる乗鞍岳へのアプローチルート、長野県道84号乗鞍岳線乗鞍エコーラインの頂上、畳平(標高2702m)の手前の県境のところであります。
あまり説明は要りませんね。マイカー規制となる三本滝駐車場から畳平までは標高差900m余り、距離約13km。中腹の位ヶ原山荘からはハイマツやナナカマドが織りなす森林限界の景色を楽しめることから、走って損はないルート、満足度の高いルートとして大変人気があります。
毎年夏に全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍というヒルクライムレースが行われ、坂バカたちの聖地となっております。

今回は、アメリカ生まれのイカした自転車「ビーチクルーザー」で挑みました。

 

◆Spec of Electra Cruiser 1

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創業者のジャノとベノが携わっていた2010年モデルのエレクトラで、最もシンプルなシングルスピード、後輪コースターブレーキのクルーザー1
フロント44Tのリヤ22Tのギヤレシオは2.0。クランク1回転につき後輪が2回転します。それしかありませんからどうにもなりません。タイヤはIRCのLovers Soul 26HE×2.125を最大の4気圧で設定。重量は15kgは超えてしまうはず…。大ぶりなクルーザーハンドルも相まって、とてもヒルクライムなんですべき自転車じゃあありません!
しかし、だからこそ登ってみたいじゃあないですか!こいつで!
MTBの父、ゲイリーフィッシャーはクルーザーを改造したクランカーで野山を駆けた!ならば私も乗鞍に挑まねばならぬ!
そうして三本滝駐車場に来てしまったのです。

◆いざ、推して参る!
クルマを停め、輪行を解いて組み立てにかかります。タクシードライバーのおじさんが話しかけてくれました。クルーザーに興味をもったらしく、試乗もしていただけました(笑) 意外にもこれで登るということには気に留めず…。

7:50頃やおら出発です。ゆるゆるとスキー場のゲレンデ沿いをスタートです。少し勾配がつくとやはりツラい…。まぁまだ序の口も序の口ですから様子を見つつ行きます。

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15分くらい走って、サドルを上げることに。カッコ重視でサドルを下げて乗っていましたが、さすがにペダリングしにくくてシッティングで全く進まないのです。ポジション大事!
登ってるとさすがに汗ばむもので、ボトルもハイペースに減っていきます。

 

◆冷泉小屋まで登れたら

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三本滝から登りますと、途中にある冷泉小屋の手前のつづら折りが勾配のキツい難所と言えます。多段ギヤならシフトダウンで軽くしてゆるゆる登っていけばいいのですが、シングルスピードなのでとにかく何が何でも踏むしかありません。タイトな左コーナーでは勾配の酷いインを走らざるを得ないので、時折クランクの上死点からもう踏み込めないんじゃないかという場面が訪れます。横に広がったハンドルが上体の力を逃してしまうがゆえに踏ん張りづらく、それでもペダルに体重をかけて坂をねじ伏せます。
これはさすがに予想していた状態ではあったので、冷泉小屋まで辿りつけなかったら敗退と考えていました。

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が、1時間弱で冷泉小屋に着いているではありませんか。以前650Aツーリング車のフェデラルで登った時と余り変わらないタイムに驚き。ギヤ比はよっぽどの急勾配でない限り問題無いですし、存外ちゃんと登れる自転車なのかもしれません。

 

◆標高2000mを超えて

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位ヶ原山荘までくれば、ご褒美の絶景が待っています。心なしか勾配もキツく感じなくなり、ビーチクルーザーでも軽快にペダルを回せるようになってきました。やっと顔を抜ける風を感じるように。

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霧が上がってきて遠くの景色はいまいちでしたが、ハイマツの合間に紅葉し始めたナナカマドが目を楽しませてくれます。特にタイムアタックしているわけでないのであれば、この標高をを走れるルートはなかなか無いので、時折止まりつつのんびりと楽しむことをオススメします。

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後日紅葉が進んだ頃に再び登った時の写真ですが、「コーナーのたびに感動が待っている」そんなキャッチコピーも過言ではないほどの絶景があります。
そんな景色に目を奪われがちですが、バスやタクシーも通りますし、写真撮影されている方も多いので、通行の妨げにならぬよう止まるときは注意したいですね。

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毎年万年雪の残る大雪渓のあたりからは、頂上剣ヶ峰がとにかくデカい!
今年に限っては暖冬の影響で猫の額ほどの大雪渓でありましたが。

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赤錆色の岩が続く法面とデッキのようになった道、こんな景色に自転車で走れている!そのことに感激があります。
稜線に道のラインが消えていくのが見えたら、もうすぐ頂上です。

 

◆Mission Accomplished

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2時間30分ほどで最高地点である岐阜県境に到着!以前650Aのツーリング車で登ったときと余り変わらないタイムなのでビックリ。いや、たぶんツーリング車で登った時が遅いんだと思います(汗)
さて、最高地点であるココは峠のような地形ではあるのですが、特段名前がないのです。信州と飛騨を結ぶ峠というと安房峠となり、そもそもこんなに高いところを通ることもなかったのでしょう。

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緩やかな坂を下り、バスターミナルのある畳平へ。
子供の頃、まだマイカー規制のなかった頃に連れてってもらった覚えがある懐かしい場所でもあったりします。弟の麦わら帽子風で飛ばしちゃって泣いた場所だったり(笑)
約20年後、そんなところへビーチクルーザーで登ってきちゃうおバカさんになってしまいました。どうしましょう。

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登っている途中では全く抜かれなかったのですが、畳平にはロードバイクで上がってきた方ががちらほら。
「え?これで登ってきたんですか?」というような驚嘆の嵐。登山で来ていた方には「感動しました!」と言われる始末。悪い気はしませんね(笑)
ビーチクルーザーで本当に登ってよかった!

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そんなこんなで、乗鞍・畳平にビーチクルーザーは登頂できました!

日本で自転車で登れる最高地点にビーチクルーザーで登頂した記録保持者はおそらく私です。挑戦者求む(笑)

 


◆God Bless you ! 視線は上向きで
さすが標高2702m地点はガスってきて寒い!ダウンとウィンドブレーカーを着こみ、体温低下しないようにします。

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腹も減ったのでレストハウスでカレーを頂きました。

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土産物の日本百名山ののれんを買い、下山します。

このクルーザーは後輪がコースターブレーキとなっており、ペダルを逆回転するとハブ内のブレーキ機構が働く仕組みとなっています。重心が低く、後傾したポジションから下りでの安定感があるので、目線を上向きに軽快に走ることが出来る自転車なのです。

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つまり、乗鞍の下りをクルーザーで下れば楽しかろう!そう企んだわけです。

予想通りこれが楽しい!気分は映画「大脱走」のバイクで牧場を駆けるシーンそのもの。水牛のように鈍重だったクルーザーが駿馬のように下っていくのです。
っと書いてますが、そんなにスピードは出てません(笑)
そもそも各所のフリクションが大きく、そんなにスピードが出る自転車じゃないので、フロントのキャリパーブレーキとコースターを併せれば十分に制御できます。

特に後輪は脚でブレーキをかけるので、手がかじかんでブレーキに力が入らないなんてこともありません。
っとおもっていたのですが…。なんかかけているはずのコースターブレーキがフッと抜ける場面がたまに。

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前輪ブレーキも併用しているので、最後まで完全に制動力を失うことはありませんでしたが、下山してきて後輪を見たら、コースターハブからグリスが散ってました(汗)
想定外のことなんでしょう。"ビーチ"クルーザーって書いてありますから。

 

一つ今回のチャレンジで悔いがあるとすれば、下山後に寄ったサイクルカフェのお客さんに言われた「ハリボテのサーフボードを持っていけばよかったのに」ということですね。

また登れですか?もう勘弁して下さい(笑)

 

結論。
良い子は真似しないように。

もうしません。

富士ノ塔山~市街地スタートの里山サイクリングその2~

長野市街地スタートの里山サイクリング第2弾!長野市街から西方に連なる山の一つ、小田切地区にある「富士ノ塔山(標高998m)」へポタリングしてきました。
善光寺平を一望できる山であり低い里山なんですが、アクセスの良さなどなかなか魅力のある山です。
当ブログは自転車ブログなので、もちろん自転車で登ったわけですが、”担ぎ”ではありません(笑)。頂上付近まで舗装の林道があるのでヒルクライムです。
午前中で行って帰ってこれる、ホームコースになりそうなルート紹介です!


長野市街地の西の壁

ルートはこちら

latlonglab.yahoo.co.jp
長野県の県庁所在地、長野市。どこへ行くにも山を越えてかねばならない山がちの海無し県でありますが、その県庁もやはり山際にあるわけでありまして、その裏山である旭山という山の連なりにあるのが、今回登りました「富士ノ塔山」です。長野市街地から、みて西側の壁となる山並みです。

◆裾花峡を往けば白馬
その県庁前を北に通過。信州大学教育学部の前でまで坂をのぼっていきます。国道406号線平林街道と当たる丁字路で左折。平林街道を白馬方面へ進みます。細い旧道チックな鍵の手を抜けると裾花峡を見下ろす立派な新道になります。

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切り立った崖には崩壊地も見られ、市街地からすぐとは思えないダイナミックな景観があります。
この国道406号線を鬼無里を経てひたすら往けば、白馬三山の絶景が拝めると人気の嶺方峠です。出雲からはるばる信州諏訪まで来た建御名方神が通った道かもという話も。

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今回は北側から富士ノ塔山を目指すということで、松島トンネルの手前で県道401号小川長野線に入ります。角に赤い石膏像のあるアトリエがあるのが目印です(ちゃんと案内標識あります)。いきなりここからヒルクライムです!10速のマディフォックスで来てよかった。

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程なく善白電鉄のレリーフが目に入ります。善白電鉄というのは、昭和11年から19年まで南長野駅〜裾花口の7.4km間を営業していた路線です。構想では名の通り白馬まで結ぶ計画だったそうですが、資金が集まらず見果てぬ夢となりました。今現在も善光寺白馬電鉄株式会社は運送事業者として存在しています。電鉄の名が残っているのがなかなか良いじゃあありませんか。
まだまだ序盤なので我慢して登りに徹します。


◆崖上の住宅街、そして中山間部に
なかなかの坂が続くわけですが、地蔵平や西裾花台団地といった宅地造成されたところがあります。一旦裾花川の崖の谷を経てここまで来てるので、エラいところに団地があるもんだなぁと思ってしまいます。ちなみに長野県で団地というと宅地造成された住宅街を指すことが多いです。つまり、言ってしまえば白金台も団地です(笑)
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田切地区へと進んでまいりました。裾花ダムの向こうに白馬の嶺が見えますね。

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富士ノ塔山へのルートの一つである林道湯山線の分岐には、放射能汚染のため山菜のコシアブラの採取を自粛するように求める看板が。福島第一原発の事故から5年たった今もなお収束せず放射性物質を出し続け、遠く離れた信州でも被害を出しています。山菜を採って食べるという当たり前のことをも奪っているという事実の前では、再稼働など許されるものなのでしょうか?しっかり向き合って考えねばならない問題です。

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田切神社です。境内には山から延びるモノレールの軌道が。気になります。

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国見集落には立派なイチイの木がありました。枝ぶりが見事です。

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もう稲刈りの時期ですね。「日本の原風景」として好まれる、地形に沿って作られた棚田や僅かな緩い地形に作られた集落といった中山間地域の景観は、そこに暮らす人の営みがあってこそ見られるものなのです。


◆クマ出没注意、蛇の屍…。

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清岳神社参道という看板が目印に左折して富士ノ塔山山頂方面へ登ります!

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といきなり道の真中にヤマカガシの屍が…。しかも腹がえぐられています。おそらく猛禽類に襲われたものかと思いますが、なんかイイ気はしないですねぇ…。

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つづら折りをこなしていくとまだまだ上にリンゴや蕎麦といった畑があります。携帯ラジオを鳴らしながら走るシクロクロスのサイクリストとすれ違いました。ここいらはクマが出没していますので、クマ鈴ないし携帯ラジオは欲しいですね。


◆遂に登頂!998mの眺め

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登り切ったところが登山口。といっても1分ほどで山頂です。

 

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登ってすぐ左側にはあずま屋がありまして、旧小鍋小学校の玄関部分を使用した珍しい作りになっています。
鳥居をくぐり階段を登るとスギが立ち並ぶ頂上に到着!

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真ん中に浅間社、善光寺平側と戸隠側それぞれに展望台があります。

 

これがパノラマ!(クリックで拡大)

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戦国時代に狼煙台として使われたというのも頷ける眺望(写真は後日撮影した天気のいい日のもの)!どういうわけかアブがうるさいですが、この景色に免じて許しましょう。

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浅間社の壁には詩吟が掛かってました。
しばし、景色を楽しみます。

 

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帰りは林道朝日山線を下り、旭山経由で平柴台を経て市街地へ帰ってきました。
MTBerとよくすれ違ったので、楽しめるコースが有るんでしょうな!これはまたのお楽しみで。
途中に牛舎があり、普段見上げる山々ですが言ってみないとわからないことだらけだなと実感しました。
朝からまるっと走ってきてちょうど昼飯時。いいポタリングでした!

飯綱山麓をめぐる~市街地スタートの里山サイクリングその1~

長野市の北部にそびえる火山「飯縄山(1917m)」は長野市民の山として学校登山から親しまれている山!
今回は飯綱山の麓に広がる飯綱高原の自然と人の営みを巡るポタリングです。
ルートはこちら

latlonglab.yahoo.co.jp
善光寺平の北にそびえる長野市民の山「飯縄山

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飯縄山は標高1917mの複層式火山で、妙高山や黒姫山が属する妙高火山群の一つですが約15万年前に火山活動は衰えているようです。「妙高・斑尾・黒姫・飯縄・戸隠」と北信五岳の一つに数え上げられています。
山岳信仰の山であり、平安時代から興った飯縄権現の信仰は戦国時代から江戸時代にかけて武家社会の間で定着しました。東京八王子の高尾山薬王院のご本尊もこの飯縄権現であり、実は大元が信州の飯綱山なのですね。
飯縄山からかつて噴出した火砕岩や火山岩とその上を覆う火山性の堆積物によって形成された裾野には、飯綱高原が広がります。戦中あたりから耕作地や酪農地として開拓が始まり、東京五輪の頃に戸隠バードラインが開通してからは、スキーやゴルフといったリゾート地や別荘地として開発が進められてきました。
実に気持ちのよい高原道路が走っていますので、自転車でも頑張って坂を登れば爽快なワインディングが楽しめるというものです。

今回は飯縄山麓を巡るポタリングです!

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天空の庭園と冒険を求めて宮田高原へ

このブログのヘッダー画像は、宮田高原という標高1650mに位置する風光明媚な場所で撮影しました。

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今回は、この天空の庭園を求め、そしてここから未だ走ったことのないロングダートを下ってこようという冒険も含んだMTBライドです。

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